ベクトルとは? その7 「ギャップ(差)の重要性」

 物語を作る上で、ギャップ(差)というものはとても大切な概念。
 
 ギャップとは、同じ軸からの大きさや距離のことだが、これはさまざまなところで使われている。
 
 たとえば、物語そのものの大きさ。
 それぞれの分野で一番高いところを目指す物語(高校野球なら甲子園優勝、個人競技ならインターハイ優勝など)はとても多いが、そのスタート地点がその部すらない高校へ入学、というケースが多いのは、ギャップを作るためである。
 つまり、理想から一番離れたところからスタートすれば、それだけでその苦労は描写できるし、もし最高の地点に到達できた時の感動はより大きくなる、というわけ。
 物語は、エンディングに達したとき、それまでの苦労を思い起こしてしまうものだから、最初はできるだけひどい状態からはじめるというのがある種のセオリー。(あるいは、序盤を使って、そのひどい状態に落とすまでの物語を書く、とか)
 
 たとえば、キャラクターの書き分け。
 AというキャラクターのライバルBを描くなら、AとBでまったく違う部分を作っておくとわかりやすい。
 炎使いなら、それに対する氷使いにするとか。
 AとBともに炎使いなら、片方が仲間思いで、片方が仲間に裏切られた経験から孤独を選んでいる、とか。
 二人のキャラを書き分けるには、差があるほうがメリハリがついてわかりやすい。
 
 この、ギャップは、対比(同じ軸を持つZとYの違い)を説明するときにとても重要になる……というか、対比が対比される理由だな……。二つのものに、違い(差)があるから比較されるわけで。
 
 では、このギャップ、どうやって表現するのか、というあたりで時間。