「ベクトル」とは? その2

 というわけで「ベクトル」の話。
 
 最初に「ベクトル」の意味を説明しておくと、「物語(その他)の流れ、方向性」。
 つまり、物語で言うなら仮のスタート地点である第一話から最終話に至るまでの流れやら、キャラクターの初期状態から最終変化までの流れやら、それらを邪魔するライバルや敵の動向やら、その他もろもろの流れ全般を「ベクトル」と呼ぶ。
 
 物語全体の「ベクトル」という場合は、「反復元」は第一話だし、「反復先」は最終話。
 キャラの成長の「ベクトル」となると、「反復元」は初期状態だし、「反復先」は最終状態。(※1)
 
 この様に、最初の状態から最終の状態に向かうまでの流れのことである。(※2)
 
 そして、物語は、たった二つのベクトルに大別される。
 つまり、主人公を含む物語を進めるベクトルと、それを邪魔するベクトル。(※3)
 
 この二つの繰り返しで、物語のほとんどのイベントが成立する。
 
 というあたりで時間切れ……。
 このペースだと、「ベクトル」の話は長そうやね……。
 
 (※1)
 このあたりは大雑把に言っているだけで、実際には最終話や最終状態になったら、最高値よりも落ちているときも多い。
 最終話が後日談だったりする場合もあるし、最終状態というか、最終的には力を失っている場合とか。
 また、第一話よりも前の話が語られる場合もありまくる。
 
 (※2)
 ベクトルは方向性だが、単一の方向を持つとは限らない。物語やキャラの方向性は、単純に同じ方向に向かうとはかぎらないのだ。たとえば、最初はバスケットボールで一番を目指していた主人公が、途中、ヒロインに出会って、そのヒロインのためにバスケットボールをするようになる、という風に動機のベクトルが変化する場合もある。
 
 (※3)
 群像ものの場合は特殊である。主人公のベクトルも多数あるベクトルのひとつ。いろいろなベクトルがぶつかり合う面白さが語られるのが群像ものなので、物語は必ずしも一定の方を向くわけではない。