対比・反復の「キーワード化」について。

 「暗示」の話をしようかと思ったけれど、その前に忘れていたことがひとつ。
 
 対比・反復の「キーワード化」について。
 
 対比・反復を行うと自然に「キーワード」というものが生まれてしまう。
 スクランでいうなら、「お泊り」「雨宿り」「相合傘」「おんぶ(だっこ)」「その人のために戦う」「二人乗り」「一緒の景色(空)を見る」など。
 
 対比されているAとBだけではなく、対比軸とはまったく関係ないCやDにまで、「キーワード」は影響を与え、それらのイベントに意味を与えることになる。
 
 なぜ、こんな現象が起きるのか?
 
 たとえば、以下の対比(相似)がある。
 
 
 
 (画像は、http://d.hatena.ne.jp/liquid-fire/よりお借りしております)
 
 最初のは、花井が八雲に投げられ、次のは播磨が天満に投げられている。
 両方とも、恋愛対象になる相手に投げられているという軸を持っている。
 
 これは完全な相似である。
 
 が……。
 もし、これとは別に、「ZがYを投げている」なんて描写があったら、対比・反復構造が頭に入っている読者はなんて思うだろうか?
 「ZがYに恋するようになる」、と思ってしまわないだろうか?
 
 二枚の投げが見事に対比されて、しかも意味を与えられている以上、それ以降の「投げ」は恋愛(好意)に関して意味を持つことになる。
 なので、作者としても、「投げ」をうかつには使えない。
 また、読者としても、「投げ」がくれば、意味が与えられていると呼んでしまう。
 
 この制限が、結果として「キーワード化」という現象を生む。
 一度、意味を与えたがゆえに使用に制限がつき、使用を制限しているがゆえに、またそれゆえに意味を持つというわけである。

 また、この「キーワード化」は、軸が関係ないキャラにも影響を与え始める。
 「相合傘」「雨宿り」「二人乗り」「誰かのために戦う」「一緒に景色(空)を見る」「おんぶ(だっこ)」などは、天満−烏丸、天満−播磨、沢近−播磨、八雲−播磨などの主役級組み合わせにとどまらず、八雲−花井、結城−花井、一条−今鳥など、さまざまな二人の間でそれぞれ意味を与えられて繰り返されることになる。
 
 以上が、対比・反復が「キーワード化」する理由。
 
 かなり大切な話なのに、書くの忘れてたよ……。