School Rumbleの「仮面」をめぐるメタの戦いについて。
対比・反復の創作法から説明は、『先読み』をめぐる基本的な説明が終わったから、少しお休み……。
しかし……。
「対比・反復から一応ちゃんとした分析ができるんだよー。だって、対比・反復って作者が『同じ(類似)』と『違う(対比)』とその後の状況(『反復』もしくは『変化』)を使って、作中のメッセージを正確に表現するための創作法だし」……というのをいうだけのために、何日使ってるねん……という感じだ。
対比・反復の応用技術、その他細かいのを語るとなると、本当にすごい分量になりそう……。
多分、全部は語れないとは思うけど……。
ま、いいや。
今日は、School Rumbleの「仮面」をめぐるメタの戦いについて。
これは、前に書いた、
なぜあの22pが沢近の救済となるのか?
http://d.hatena.ne.jp/bonyari_cat/20070803
の続編みたいなお話。
というわけで、以下、いろいろと。
「仮面」をめぐるメタの戦いについて。
1.播磨は、「変態さん」がばれないように、ヒゲとサングラスを身に付けた。
→ これは、天満に振られないようにする一種の防御行動である。
→ だが、「仮面」をかぶる行為は、恋愛の障害となっている。(※1)
→ 自分をさらけ出した上で告白をしないと、天満をぐらつかすことはできないと推測。(その証明は上のリンク「なぜあの22pが沢近の救済となるのか?」に書いた)
→ また、「変体さんばれ」の上での告白は、天満に対して効果的だと推測。
2.沢近も、「かわいく振舞う」ことで「仮面」をかぶるキャラである。
→ 「かわいい」「ひどい」とある意味相反する両極の「仮面」が作中ではがされる。
→ 対女性用の「仮面」は周防の手によってはがされる。以降、女性キャラ同士の集まりでは、地が出るようになる。
→ 「ひどい方の仮面」もDVD撮影と天満との喧嘩ではがされる。
→ 対播磨用のとっておきの「かわいい仮面」はオイスターバーで誘うときに使用。
→ だが、あの22pで男性用の「かわいい仮面」がはがれる。「きもい」と地が出ることにより、素顔の自分がだせるようになった。
→ 今後、メタゲーム的には沢近の対播磨戦はかなり有利になる、はず……。(すくなくとも自分を偽る必要がないので、以前より積極的に恋を行うはず)
3.八雲は、アルバイトでコスプレを着たりと、「仮面」をかぶることを気にしないキャラである。
→ 自らの恋心すらも偽りうる性格としてかかれている。(幽霊に対する言い訳など)
→ 天満が見事な自然体なのに対し、八雲はほとんどの場合、ワンクッションおいて考えたあと行動に移す。
→ ただ、以前の「やーも」はいろいろな意味で自然体だった……。(※2)
→ 仮面をかぶるのは、すべてのリアクションに「姉さん」を考えてしまっていると推測。
4.播磨と沢近の「仮面」をめぐる行動。
→ 播磨が「仮面」をかぶったのは天満との恋愛のため。
→ それを知ってか知らずか、沢近は「仮面」をはがす行動をとりつづける。
→ 最初はひげ。天満がヒゲがいいと言った後に伸ばしたものを、ハサミでばっさりやっちまう……。
→ 次に、はげ。これは実はメタ的にはひげをそらなきゃならんのだが、もうひげがないので、その連鎖で髪を切ったのだろう。頭頂の髪をじょりっとやっちまう……。(そういや、沢近は、髪切るの得意なキャラだな……。将来の夢もそうだし。もとからひげを切る、髪を切る役割を担って設定されたキャラなのかも)
→ そして、体育祭。はげを隠す帽子が騎馬戦でとれそうになったのを、沢近がなんとか拾ってかくしてセーフ。
→ また、その恩返しにと、播磨が帽子が取れるのもいとわず(?)、リレーで一着をゲット。
→ これは播磨が、「仮面」をはがしても自分のために戦ってくれた、という行動ともいえる。
→ だから、「でも俺はハゲ……」「恥ずかしくなんかないわよ」という台詞につながる。(つまりは、素顔になる勇気を見せてくれた播磨を心から尊敬したというわけ。沢近も、同じテーマを持つ「仮面」をかぶってしまう人だし……)
→ そして、沢近も、対播磨戦で素直になろうと決意。ジャージのお礼をする。(この時、名前を縫う、という行為がもうひとつのメタにかかわっている可能性がある……。これは(※3)で後述)
→ そして、リムジンの中で寝ている播磨のサングラスを覗こうとする行動も、素顔を見ようとする延長。
→ 最終的には、従業員さん播磨で素顔を見、そしてその笑顔をも見ることができた。(完全に仮面をかぶっていない本当の播磨を見て、それをすごいと尊敬した)
→ そのあとの本編で対播磨戦が積極的になる。これは、メタ的に言えば素顔の播磨を見ているからだと分析。つまり、自分も本当の沢近を見せようと考えた……というわけだ。
→ ところが、決定的な誤解がひとつあった。播磨がすきなのは実は天満……。
→ そこらをまとめてすっきりさせたのが例の22p。
→ よってこれからの沢近はさらに強い……はず。
→ 将来的に、播磨は、対天満戦で、「変態さんばれ」を行うはず。
→ ということは、そのあとは素顔の播磨がデフォルトになるわけで……。
→ 「仮面」をはがす、という同テーマを持つ沢近は、さらに播磨にほれるはず。
→ テーマ的には、播磨と沢近は同じ。二人とも「自分の素顔を出せるか」否か。
→ 播磨は、単純に外見的なもの(ヒゲとサングラス)。沢近は演出的な外見(かわいく自分を見せる方法)。
→ 以上が、播磨と沢近の「仮面」をめぐる行動の分析と推測。
5.それに対しての八雲の「仮面」をめぐる行動。
→ 八雲は「仮面」をかぶっていることが当然のキャラ。
→ コスプレもするし、自分の心を偽って行動することが多い。
→ ただし、八雲にとってはヒゲ&サングラスの播磨こそが「素顔」。
→ なので、ヒゲであろうがサングラスであろうが、播磨であれば良いと考えているようだ。
→ ただ、対沢近戦では、メタ的な妨害をしている。
→ 正月「ヒゲ」を付け加えて播磨の仮面を復活させたりするし……。(どう考えても、八雲によるメタ的な妨害(笑) 播磨のヒゲの復活は、播磨の対天満戦への障害となるし、また対沢近へのいやがらせである)
→ ただし……。最終的には、「変態さんばれ」が待っている以上、八雲が「仮面」をめぐる沢近との戦いで敗北すると推測。
→ そこで、八雲は自らの「仮面」を取れるかが、決定的な分岐点となると予測。(播磨さんが好き、との心を認めて、天満とも戦う決意ができるか否か……)
→ でも、そうなると……。「やーも」復活になっちゃうんだよなあ……。
ながながと書いてきたけれど……。こんなものか?
いろいろ抜け落ちている気がしないでもないが……。
ま、いいや、思い出したらつけたそう。
(※1)
「仮面」は障害だが、「演技」は違うのかもしれない。
沢近と八雲の、王子対魔女対決では二人の本心がでまくっていた。
また、八雲が播磨に「好き」と言おうとしたのは演技を通してのことだし。
また、ドジビロンの仮面をかぶった一条とか、その他いっぱい……。
「演技」だと意識していると、本心が出たり強気発言ができるのは、スクラン全般を通しての傾向だと思う。
(※2)
個人的には、スクラン本編でも勝気「やーも」が復活し、「播磨さん! 妹さんって呼ぶなっていったでしょう! 私は八雲! 妹としてしか見られないのはいや!」と播磨に言う姿を見てみたい……。
(※3)
「呼び名」をめぐる問題である。
沢近が「ヒゲ」と呼んでいる以上(だって、ヒゲは播磨の二大「仮面」のひとつだし)、沢近ENDは遠いと考えている。
ヒゲと呼ばれるということは、ヒゲがあるというわけで……。それでは播磨の仮面はかぶられたまま。従業員さん播磨で見られた素顔の笑顔が沢近に微笑まないことになる。
だから、ジャージのネームを直した沢近は、メタ的にはものすごく進んだ行為だった……はずなんだけど(ヒゲではなく、播磨とちゃんと名前で呼ぶ代償行為)、八雲に見事に邪魔された(笑)
また、八雲が「妹さん」と呼ばれている以上、八雲ENDは遠いと考えている。
ちび八雲が「やーも」と呼ばれることを嫌っていた、というイベントは、将来的には「妹さん」との呼び名を疎ましく思うことの示唆(?)だと推測。ヤクモンや、ヤークモなど、他の名前で呼ばれると困っているようなしぐさもあるし……。やはり、「妹さん」という呼称は、所詮は天満の妹でしかないとの認識からの呼び名なので、八雲にとってはクリアしなければならない個所だと推測。しかし、本編で「八雲」と名前で呼ばれることはくるのだろうか……。