スクラン:第三次 絃子考察

 第三次絃子考察を簡単に。
 

                                                        • -

 
■ その1 第一回 絃子考察の訂正
  
 最初の絃子分析で、【♭19】の台詞を抜き出して、私はこのように書いた……。
 
=============
 
絃子「いつか あなたにも知ってほしいな 私の見ているものが どんなに素晴らしいものかを」
 
 おそらく、これが意味しているのは、播磨を含めた学校の生徒たちのこと。
 
=============
 
 ……実は、この部分は、私の思い間違いだったかもしれない。
 
 1巻のオマケページ(【#12】と【#13】の間)、刑部絃子紹介で、高野は言う。
 
ひとこと:もう少し生徒に興味をもった方が良いと思います。
 
 分析に優れた高野の言うことは、おそらく当たっている……。
 だとすると、【♭19】の台詞、「私の見ているもの」の意味するのは、学校の生徒などは含まれないらしい。
 
 つまり、【♭19】のラストの落ちにされる「播磨だけを見ている」し、それを理由に川合の誘いを断ったということになる……。
 
 ……マジ……?
 
 ……まあ、……でも、出ている情報を全部意味があるものとして、拾ってつなげるとすると、一応、本当にこうなるっぽい……。(でも、一巻のオマケは、播磨の嫌いなモノに貝類と書かれているように、少々、整合性が微妙。後に、播磨は、沢近とのデートでオイスターバーにいくくらいだし)
 
 

                                                        • -

 
■ その2 絃子の年齢からの考察
 
 小説版スクランに出ていた谷先生の年齢は26歳。
 谷、絃子、笹倉、姉ヶ崎の中では、谷先生が最年長とされていたので、絃子は25以下。
 また、笹倉が後輩なので、笹倉の一学年上だと考えると、23以上。
 
 絃子が学校の先生になったのは、2年前から4年前ということになる。
 
 これは、私が二回目の絃子分析でやった、播磨とのファーストキスの時期と重なっている。
 
 つまり、絃子が学校の先生になったのは、そして大きめな部屋で一人暮らしを続けているのは、「俺は俺のモンだ」と言う播磨を好きになったがゆえに、近くにいようとして矢神町に残った可能性もあるというわけだ……。(講談商事は、大きな会社だろうから、おそらく矢神町にはないだろうし……)
 
 

                                                        • -

 
■ オマケ1 逆の視点からの仮説
 
 絃子は「俺は俺だけのモンだ」という播磨が好き、という大前提を外して考えてみる。
 
 実は、今までの絃子分析は一変する。
 
 考えられるのが、絃子が播磨にキスをしたからこそ、ショックを受け、女性不信になり、ワルになって「俺は俺だけのモンだ」というようになったという可能性である。
 正直な話、この可能性でも、絃子と播磨の間はある程度説明できる。
 
 自分の責任でワルになった播磨を更正させようとして、学校の先生になり、家出同然の一人暮らしを続ける播磨を引き取れるように大きな部屋を借りたというわけである。
 
 だが、この分析はやはり微妙な箇所がある。
 
 突然ワルに目覚める原因を作った女性と、同じ部屋で暮らそうと考えるはずがないからである。
 やはり、ワルになったのは播磨独自の性格によるものであり、その因果関係は絃子にはない、と考える方が正解に近いのかもしれない。
 
 

                                                        • -

 
 ■ オマケ2(遊び) 【♭14】の暗喩は何?
 
絃子「大質量Aの直線上に並んだ天体Bの像がダブって見えた… 君たちはどう考える?」
 
 ここにつながるのが【#19】の絃子の台詞。
  
絃子「ほ〜ら塚本君だよ〜 君のだーい好きな♪」
 
 つまり、絃子は、暗にこう言っている。
 
絃子:「私が塚本君の格好をすると ほら ダブってみえるだろう? だから拳児君…… 私でも… 私でも良いじゃないか……」
 
 ……いや……。
 ……さすがに、これはない……(笑)(※1)
 
(※1)
 この台詞が何かの暗喩だとしたら、播磨が八雲と天満をダブらせて見た【♭21】のイベント予報だと思われる。
 
 結構重要な話だから、この時点で考えいて、その予告暗示としてこんな台詞を喋らせたとしてもおかしくはない。
 連載の感覚にして、たった一年先のことだしね……。(一年先のシナリオをまったく考えていない作家はほとんどいないと思う……。これは、構成ヲタにかかわらず、普通の作家でもそう)
 
 

                                                        • -

 
■ オマケ3 【♭19】の一瞬の沈黙。
 
 まずは台詞の抜き出し。
 
笹倉「…でも ま 雨の中 傘をささずに踊る人間が居てもいいわ」
絃子「……… 自由とは そーいうことだ」
 
 さて……。
 ここの「………」が問題。
 
 笹倉の言う「雨の中 傘をささずに踊る人間」というのは、スクランでは「恋人を作らない人」の暗喩だと考えられる。(※2)
 
 だが、絃子は、一瞬反応が遅れている。
 笹倉の暗喩の意味を考えている、という解釈もあるだろうが、賢い絃子がその意味を掴みかねることはないと思われる。
 やはり、「恋人をつくらない」という笹倉の指摘に、一瞬だけ、同調するのをためらったのだろう。
 
 だとしたら、その意中の人は誰? ということになるのだけれど……。
 
 
(※2)
 スクランの対比構造分析のキーワードには、「相合傘」と「雨宿り」がある。
 両方とも、恋人の出会いを意味する。
 今回は、「相合傘」のことをさしているのだろう。
 つまり、「雨が降っていても、恋人に寄りかかろうとせず、自由気儘にやっている人がいても良いわ」と笹倉は言っているのである。
 
 

                                                        • -

 
 ■ オマケ4 十九巻からの分析(【#237】【#239】【#240】)
 
 まずは、【#237】。
 
絃子「私が手伝いますよ」
谷「おお! 助かります」
絃子「しっかりやっとかないとな 出欠の確認は」
 
 というコトを言っている割には、播磨の出席を確認していない(笑)
 これは、ゼッタイに意図的な策略……。
 播磨を歩行祭にいかせないように仕組んだものだろう……。
 
 絃子は、もしかすると、ある種「病んでる」キャラなのかもしれないと思うようになってきた……。(笑)
 
 だって……、
 
 A.同棲している割には手を出さない。
 B.でも、播磨の恋愛は地味に邪魔をする。
 C.播磨の心が絃子を向いていないとわかっているのに、播磨を手放そうとしない。
 
 黒化すると、怖そうだ……(笑)
 
 まあ、それはさておき、【#239】【#240】。
 中村と対比させて、播磨をアンゴラに送る手だてを整える絃子の姿が描かれている。(※3)
 
 スクランで何か企んでいるキャラって後ろ姿だったり、目がかかれなかったりすることがおおい。
 今回は、両方とも、後ろ姿が書かれている。
 
(※3)
 中村が、絃子の依頼を受けたのには、理由が二つある。一つは、播磨をアンゴラに送ることで、播磨と天満がくっつくのを阻止すること。間接的に、天満と烏丸をくっつける支援をすることで、播磨と沢近がくっつくのを支援すること。
 二つ目は、中村が好きなのは、絃子だから。
 
 

                                                        • -

 
■ オマケ5 絃子のネーミング由来仮説
 
 絃子が「病んでる」という視点に立ってら、の話だけどだけど……。
 
 絃子というのは、黒い意図(玄=黒 + 糸 = 糸玄 )から組み上げたネーミングなのかもしれない……。
 
 
  

                                                        • -

 
 ってことで、第三次超姉考察終了〜。
 
 さすがに、これで、もう、絃子分析に関しての弾はしばらくなさそうだ……。(まあ、また次の巻が出ればやるかもしれないけど……)