スクラン:『絃子の対比構造分析』

 というわけで、むちゃくちゃ長い、絃子の対比構造分析。
 
■ ポイント1 絃子が好きなのは誰?(【8巻】【♭19】【#253】)
■ ポイント2 「播磨と天満」への視線。(【特別長編】)
■ ポイント3 八雲との対比(【♭14】)
■ ポイント4 沢近との対比(【♭24】)
■ ポイント5 八雲、襲来。(【#92】と【#94】)
■ ポイント6 八雲へのバトン(【#118】と【#119】)
■ ポイント7 高野との対比。(【#19】と【#110】と【#161】)
 
 

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■ ポイント1 絃子が好きなのは誰?(【8巻】【♭19】【#253】)
 
 ヒントとなるのは、【8巻】の表紙。(※1)
 
 【8巻】の表紙は絃子のアップ。
 【8巻】の後ろの表紙は「中学生の播磨」。
 
 巻数が一桁台のスクランでは、表紙の思い人が後ろの表紙というケースが多い。
 
 それを踏まえると、絃子の好きなのは「中学生の播磨」。
 わざわざ「中学生の播磨」を選んでいるのは、「俺は俺だけのもんだ」と言っているころの播磨が好きだということか?
 
 そこで本編を見てみると、最新号の【#253】には、姉ヶ崎と笹倉に「生徒と先生の恋愛」は駄目だと話題を振られ、「黙れ」と返している絃子がいる。
 これは、誰か意中の人が生徒の中にいることを示唆していることに他ならない。
 
 また、【♭19】の絃子の台詞にはこうある。
  
絃子「いつか あなたにも知ってほしいな 私の見ているものが どんなに素晴らしいものかを」
 
 おそらく、これが意味しているのは、播磨を含めた学校の生徒たちのこと。
 
 で、それを証明するように、ギャグ落ちになっているのが、【♭19】のラストシーン。
 絃子が帰ったマンションで見たのは、天満に降られて沈んでいる播磨の姿が……。
 
 ギャグに落とされてはいるけれど、それがギャグになるということは、それだけ播磨のことを思っているということにもつながる。
 
 川合の誘いを断ってまで選んだもの=播磨(が象徴する若さや一途さ、青春に生きる者たちの思いなど)らしい。
 
 これで、少なくとも絃子は、播磨のことをすごく大切に思っていることが分かる。
 
 それを踏まえた上で注目して欲しいのが、【♭19】の笹倉と絃子の会話。
 
笹倉:「絃子さんは……大学生の時からそうだよね………… こういう雰囲気になじめない………………」
絃子:「ん──な ヒトをガキみたいに」
 
 大学生時代の絃子が、「不良であるがゆえにクラスの雰囲気になじめない播磨」との相似だとすると、実に細かい感情を、絃子は抱えていることになる。
 
 絃子は、かつての、あるいは今の自分に似ている播磨──「俺は俺だけのモンだ」と思っている播磨を好きだが、それゆえに手を出せない。
 手を出してしまうと、「俺は俺だけのモンだ」とはならないからである。
 手元に置き、同棲もどきを続けるのが限界の線。
 
 というわけで、以下、絃子は「俺は俺だけのモンだ」と言っている播磨の事を好きという仮説で、絃子周りの物語を分析してみる。
 
 
(※1)
 表紙からの分析なんて、実際には役に立たないケースが多いんだけど……。
 ま、解説のイントロとしてはわかりやすいので使ってみた。
 
 ちなみに、一桁台の巻には、こんな感じの傾向がある。
 
 【3巻】 沢近 → 播磨
 【4巻】 周防 → 花井
 【5巻】 一条 → 今鳥
 【6巻】 播磨 → 天満
 × 【7巻】 花井 → サラ
 【8巻】 絃子 → 中学生播磨
 【9巻】 サラ → 麻生
 
 と、まあ、それなりに納得のいく組み合わせがされている。
 
 おまけで、二桁台になってからは、表紙から中の絵にシフトしている。
 そちらでの傾向はこんな感じ。
 
 【10巻】 永山 → 田中  
 ×【11巻】 冴子 → 三原
 ×【12巻】 ハネ子 → 名前忘れた……。
 【13巻】 姉ヶ崎 → 谷
 ×【14巻】 東郷妹 → 稲葉
 【15巻】 中学生マックス → 中学生沢近
 【16巻】 中学生修司 → 中学生美緒
 【17巻】 笹倉 → 絃子
 ×【18巻】 結城 → 周防
 
 これも、まあ、それなりに傾向がある。
 
 

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■ ポイント2 「播磨と天満」への視線。(【特別長編】)
 
 二巻に掲載されている【特別長編】は、播磨の、天満への恋心を絃子が聞き出す話。
 
 その時の会話を抜き出すとこんな感じ。
 
播磨「そもそも オカしいんだよな ひっかかんだよ! 普段は色恋のイの字も口の端にのぼらん女が」
絃子「…………」
播磨「イキナリ そんな話をふってくるなんてよ 何が狙いだコラ? さてはなんか企んでるな?」
絃子「……そうだな」
絃子「この子のコトは正直に言えば 興味本位だ」
絃子「だってそうだろ? 「俺は俺だけのモンだ」なんて独りでトガってたヤツがさ… なにせ 恋だ」
絃子「少し… 心配にもなるさ」
 
 絃子は、「色恋のイの字も口の端にのぼらん女」らしい……。
 なのに、今回「イキナリ そんな話をふってくる」。
 これは理由があるはず。
 
 まあ……、「俺は俺だけのモンだ」とつっぱっていた播磨が急に変わったから、相手の女の子はどんな人なのかと、興味を持ったというのことなんだろうと思う。
 
 以降、絃子は、播磨の記憶喪失話で天満と播磨の仲をからかったり、天満の髪型を真似して遊んでみたり、バレンタインでは天満からのチョコを勝手に食べたりと、天満との仲を地味に妨害する。
 
 これは当然、「俺は俺だけのモンだ」と言っている播磨が好きなので、播磨の恋愛に対しては消極的に妨害する傾向にあるというわけだ。
 (だが、そう言った物を含めて、青春そのものは、ポイント1で示したように素晴らしいものだと考えているから、見守り続ける立場にある)
 
 

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■ ポイント3 八雲との対比(【♭14】)
 
 【♭14】での絃子と笹倉と八雲の会話は、対比構造的に面白い。
 抜き出すとこんな感じ。
 
八雲「それじゃあ失礼します」
笹倉「サラちゃんによろしくね」
??「優しい娘ですね」
??「「今どき珍しい」… そんな娘ですよ」
笹倉「かつての刑部先生とは大違い」
絃子「それは忘れて」
笹倉「冗談ですよ 今は立派な先生ですものね… フフフ」
絃子「そうそう! 今がよければ良いのだよ」
 
 ここで、笹倉は、「絃子と八雲の対比」を指摘している。
 「かつての刑部先生とは大違い」と、かつての絃子と、今の八雲が違うと断言している。
 
 メタ的に言えば、作者が「絃子と八雲の対比」を設定しているから、こんな台詞を言わせているというわけ。(別にどうでもいいような二人は比較されない。例えば、吉田山と谷先生は全然違うキャラだが、「違う」とも言われることはない。比較されるということは、何かしらの軸が同じという認識が作者の中にある、ということ。また比較すべき存在と認識されているということ)
 
 【♭14】の「絃子と八雲の対比」はねじれていて、……ちょっと解説が必要。
 
 【♭14】のラスト──八雲のモノローグで、このように書かれている。
 
 よくわからなかったけど刑部先生はこう言っていました──
 「やっぱり今も昔も男は変わらんな」と……
 
 逆に言えば、女性は変わったということ。
 
 なのに、八雲のこの話のオープニングで、「今時珍しい」とされている。
 つまり、「八雲」は変わっていない昔ながらの女性。
 だけど、話のオープニングでは、八雲と絃子が比較されて、かつての刑部とはえらい違い、と言われている。
 つまり、逆に言えば、「絃子」は、昔にしては珍しい、「今どき」の女性。
 
 これが何を意味するのかはさておき……。
 八雲と絃子が、直接対比されているというのは極めて重要!
 
<オマケ分析> 
 この「絃子と八雲の対比」を補佐するのが、「絃子と笹倉」コンビと「八雲とサラ」コンビの対比。
 【♭14】で、笹倉には、「サラちゃんによろしくね」という台詞があるのだが、登場していもしないキャラ名をワザワザ台詞に入れている。
 これは、「絃子に対しての笹倉」は「八雲に対してのサラ」と相似だということだろう。
 
 事実、「絃子と笹倉」と「八雲とサラ」はポジションが似ているしね……。
 
 

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■ ポイント4 沢近との対比【♭24】
 
 【♭24】では、絵的に絃子と沢近の対比が行われている。
 対比構造を使いこなす作者が、ここまで完全に対比構図を持ち込むということは、沢近と絃子には何かしらの軸がある。
 その軸の位置に描写されているのが、中村。(※1)
 そして、中村デザインのベースとなった、播磨だと思う。
 
 だが、沢近と絃子の対比はこれだけで、他には見かけることができない。
 
<オマケ>
 中村は、絃子に恋をするという方向に向かう。
 【#182】の岩に貼り付けられたお札の一つに、「刑部絃子」らしき名前と、「中村」らしき名前がある。
 
 成立するかはさておき、作者の中で認識されるカップリングなのだろう。
 
<さらにオマケ>
 歩行祭の前には、天満との中を引き裂くために(?)アフリカ行きを支援した絃子と、同じく沢近と播磨の二人を取り持ちたい中村の共同戦線が張られている。
 裏で意図を持つ二人が組む、という構図はスクランの中に多く、「絃子と高野」「東郷と高野」などの例がある。
 
 

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■ ポイント5 八雲、襲来。(【#92】と【#94】)
 
 【#92】では八雲の来訪が書かれている。
 
絃子「オゥ 拳児君、早かったな……」
 の後、播磨が八雲を連れ帰ってきているのを見て、無言でポテトチップスを口からポロリと落とす絃子。
 
 最後のページは、
絃子「……………………」
 と、ビールを四本空け、ポテチの袋も五袋ほど開けている絃子が描かれている。
 自分でも何をしているのかわからないくらい混乱しているのだろう。
 
 
 【#94】では絃子が刑部家から出て行くシーンが描かれている。
 
 【#94】を対比構造的に分析すると、こんな感じになる。

 八雲が本来いるはずの位置 → 塚本家。
 絃子が本来いるはずの位置 → 刑部家。

 【#94】で、現実に八雲がいる位置 → 刑部家。
 【#94】で、現実に絃子がいる位置 → 笹倉家。
 
 八雲が来たお陰で、絃子が追い出されるという玉突き現象が起きている。
 原因は、播磨が八雲を連れて帰ってきたからなんだけど……。
 
 これが対比の一部ということを、奇妙な形で補完しているのが、【#94】のラスト。
 
絃子「え〜から えっとさ… フロのカマが壊れて…」
 
 この台詞と併せた次の【#95】の一ページ目で、天満が泡風呂で遊ぶシーンが描かれているのだが、絃子が【#94】のラストでフロに関しての言い訳をしたからこそ、そこから逆算で対応させて、【#95】の冒頭で「塚本家」のフロまで描くという不思議な演出が行われている。
 つまり、播磨が八雲を連れてきたということは、【#94】の「フロのカマが壊れて…」という絃子の言い訳につながり、「塚本家」と「笹倉家」と「刑部家(これは絃子の嘘だけど)」のフロに影響があったという構図になっている。
 フロを対比させることで、その「家」を対比させ、ひいてはその原因を作った二人(八雲と絃子)を対比するという極めて難しい対比を行っている。
 
 また、「フロのカマが壊れて…」という絃子の「嘘」に対比されるのが、【#95】の落ちである。
 
 サラが塚本家に電話をかけてくるシーン──。
 絃子の笹倉への嘘に対比して、八雲もサラを出汁に嘘をつく。
 見事な対比である。
 だが、八雲の天満への嘘は発覚する。
 
 絃子は、相方である笹倉に嘘を使ってたよろうとした。
 一方、八雲は、相方であるサラを使って嘘をついたが、結果、ばれる羽目になった。
 
 これも、ねじれてはいるが、対比である。
 
<オマケ>
 この対比は、ポイント3で書いた【♭14】での、「絃子と笹倉」コンビと「八雲とサラ」コンビの対比の補強になっている。
 
 

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■ ポイント6 八雲へのバトン(【#118】と【#119】)
 
 【#118】の茶道部カフェで、絃子は奈良を接待することになるのだが、その後、やってきた播磨が姉ヶ崎に抱きつかれて困るのを見て、ものすごく冷たい表情をしている……。
 
 これは【#118】のラストにも引き継がれ、絃子は奈良の隣で冷たい表情をし続けている。
 
 ここで注目して欲しいのが、奈良=絃子、播磨=姉ヶ崎、花井=八雲という三つのコンビが描かれているコマ。
 
 八雲の視線は、播磨を向いている。
 逆に、絃子の視線は、播磨から逸らされている。
 
 これは絃子と八雲の対比であり、絃子の、誰かとでれでれする播磨は見たくないという心理が現れている。
 
 そして、この話のつぎの【#119】では、絃子の対播磨への態度に、結構決定的な暗示がされている。
 
 【#119】の絃子と播磨の会話には、こうある。
 
絃子「おい皿洗い」
播磨「んだよ えらそーなメイドだぜ」
絃子「なんだ せっかく交代してやろうと思ったのに」
播磨「む…!?」
絃子「奥の部屋でセンセイがお待ちだ」
播磨「は?」
播磨「テメーが先公だろうが……」
 
 【#118】──および今までの流れを踏まえると、この台詞回しは見事!
 これは、絃子が播磨の「皿洗い」を交代するという意味だけでなく、「絃子」と「八雲」のポジションを交代するというダブルミーニングでもある。
 「奥の部屋でセンセイがお待ちだ」というのも、「先生=絃子」が、「八雲=センセイ」にとってかわられるというニュアンスになり、絃子のいたポジションに八雲がうつるというダブルミーニングでもある。
 
 多くの作品でよく見られる、「受け継ぎ」の対比。
 古き時代の象徴としての絃子と、それを超える新しい時代の象徴としての八雲という風に書かれているのだと思う。
 
 ただし。
 これが、八雲と播磨の恋愛実現フラグかといえば、微妙なところ……。
 絃子のポジションに移ったからといって、絃子と同様の運命を辿る可能性もあるわけだから……。
 
 まあ……。
 【♭14】で、絃子と八雲は違う、との表現が笹倉によってなされている以上、八雲は、絃子とは違う運命を辿ると思われるのだが……。
 
 ここらは、スクランが終わってみないと確実なことは言えない部分だったりする。(ちなみに、一つだけ予想を挙げろと言われれば、沢近と八雲の曖昧ENDなんだけど……。誰と播磨が成立するかを予想しろ、と言われれば、やっぱり八雲をあげちゃうなあ……。ただ、作中では沢近と播磨がくっつく可能性もある、と見ている。八雲が、それでも播磨を諦めない、という形のENDなんだけど……)
 
<オマケ>
 【#207】の、塚本家のおひな様の話。
 最初に出される取れたお姫様の首が、絃子に似ている、とおもうのだけど……。
 
 やっぱり、天満、沢近、八雲の三人娘が来たからには、絃子はその位置から降りなければならないという暗喩なんだろう。
 
 

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■ ポイント7 高野との対比。(【#19】と【#110】と【#161】)
  
 【#19】に、播磨が絃子に抱きつくシーンがある。
 これの対比となっているのが、【♭06】の、花井が高野に抱きつくシーン。
 【#19】での播磨、【♭06】の花井ともに、好きな相手を間違えて抱きついた後、反撃を喰らっている。 
 
 こんな感じで、絃子と高野は、時々対比される間柄……。

 たとえば【#110】のサバイバルゲーム編の最終話。
 【#110】の台詞を抜き出すと、こんな感じ。
 
絃子「…決着がついたようだな ゲームも… あの二人も…」
高野「刑部先生… すみません つきあっていただいて」
絃子「構わんよ 君も色々一人で大変だったろう」
高野「あの変な人との闘いは終わったんですか?」
絃子「いい。そのことは忘れてくれていい。」
絃子「2−Cの諸君もこれで文化祭ができるしな」
高野「ありがとうございます 先生…」
絃子「それよりあの二人がこれで元のようになってくれればよいが…」
絃子「まァ こういうコトで喧嘩できるのは 今だけだしな────」
 
 高野が花井を再起動させるために仕組んだサバイバルゲーム
 なら、高野に対比されている絃子は、播磨を再起動させるために手伝ったと考えられる。
 それゆえに、播磨、花井が復活した【#110】のラストは、この二人の会話で締められるというワケ。
 
 高野と絃子の直接対比はもう一つあって、【#161】の正月の凧あげの話。
 播磨の凧を持っているのが絃子で、花井の凧を持っているのが高野。
 
 簡単にまとめると……。
 
 高野が花井を好きなのと同様、絃子は播磨を好きという感情を持っている。
 が、恐らくは……、絃子と高野、共に相手には最後まで心を伝えない。
 あくまで後方からサポートし、見守ることに徹するのだろう。(絃子が「俺は俺のモンだ」という播磨が好きなのと同様。高野も、あの花井が花井である部分が好きなのだろう
。だから好きという感情は持つのだが、直接はアプローチをかけず、花井のサポートにまわってしまう)
 
 そのように設定されているからこそ、絃子と高野は同じイベント、役回りを与えられ続けているのだ……。
 
 ……対比構造からわかってしまう、ある種、悲しい分析だねぇ……。
 
 

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■ まとめ。
 
 絃子は、播磨のことが好き。
 
 

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■ 対比構造分析に関して。
 
 今回は、絃子周りの対比を抜き出すことで、絃子の播磨への思い、そして、それの結末予測と、裏で流れている意味を追ってみた。
 
 対比構造分析は、軸を併せた二つのものを比較することで、「同じ」ものは「同じ」、「違う」ものは「違う」という当たり前のことを、読者に伝える創作側の演出技法である。
 
 よって、その対比されている部分を追うだけで、結構明確なメッセージを受け取れる。
 
 ──勿論、対比構造分析は万能ではない。
 以上の分析なんて、作者の考え次第で簡単にひっくり返るメッセージである。 
 だが、対比構造分析をするのとしないとでは、物語から得られる情報量が格段に違う。
 
 今回は絃子だけをメインに追ってみたが、他のキャラどころか、他の作品でも対比構造分析はできるので、元気な人は挑戦すると面白いかも。
 
 

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 以上! 超姉分析 終了。
 
 ってか……。
 
 ぎゃああああああああああ……。
 
 これを完成させるのに、気がつけば、7時間……?(結局その後、修正に4時間かけて、合計11時間使いましたとさ……)
 台詞の抜き出しを併せて、原稿用紙枚数50枚分……?
 テキストにして約24KB……?(笑)
 
 どんだけ労力かけとんねん……。
 
 ってか、やべー。
 今日のノルマ、やってないー……。
 おい、私! 現実逃避もいい加減にしろー(笑)
 
 やっぱり、分析ヲタに、分析材料与えると、やばいよなー……。
 あっちゅーまに時間が経つわ……。
 
 ちなみに、「一条−今鳥」分析をぽしゃらせた理由は、こんな感じでローラー作戦やっちゃって、時間かかりすぎたから……。
 出番の少ない絃子一人でもこんな時間がかかるんだから、「一条−今鳥」二人をやろうとしたら、とんでもないことになった(笑)
 さすがに、時間を食い過ぎると判断。中止することに決定。
 
 
 ちなみに、今回使った対比構造分析っちゅーのは、今まで、あたりまえのように小説やマンガや映画で使われていながらも、それだけを抜き出して研究されていなかったもの。
 つまり、ヤンデレとかツンデレみたいに、昔からその存在があったにも拘わらず、名前が与えられていなかったがゆえに、しっかりと認識されていなかったというヤツだわさ。
 
 なので、いずみのさんや私が付けた用語を他で見かけても、意味が違うことがありまくるかも……。だって、いずみのさんや私が使っているのは、対比構造研究の開拓者として、新しく採用したものが多いだろうし……。(でもねえ……。じつは、いずみのさんと私との間でも微妙に用語の使い方が違う……(笑) スクランに対する見解も違う箇所も多い。いや……だからこそ面白いんだけどね(笑))
 
 いずみのさんのデータベースや私のサイトが対比構造分析の嚆矢となって、これから色々な所で、対比構造研究が行われて欲しいねえ。(いずみのさんにもっとがんばってもらって、対比構造分析の第一人者になって欲しいという部分もある)
 だって、世に出ているほとんどの作品は、対比構造で分析できる箇所があるし……。(スクランみたいに徹底的に対比構造から作られている作品は少ないけどね)
 
 対比構造分析を広めるために、最近ようやくプレイした「フェイト」や「ひぐらしの鳴く頃に」の分析を根性入れてやってやろうとおもったけど……やめた。
 分析するには、時間がかかりすぎる……。
 私はやっぱり創作家であって、研究家じゃないからなあ……。
 他人の創作を研究するなら、やっぱり自分の作品を書くよ……。
 
 とはいえ、スクラン以外の作品で、対比構造分析研究やりたい人いたら、個別にレクチャーするけど……、元気な人いるかなあ?(笑)
 
 元気な人がいたら、dareo_o☆yahoo.co.jpまでどーぞ。(☆を、@に変えて。ただし、あまり見ないメアドですし、基本的にネット環境を持っていませんので、返信は遅れるかもですが……)(すみません。パスワードが解らないので、いま使えません)
 勿論、お金は取りません。資格なんてのもいりません。やる気があれば充分です。
 創作家や、研究家の知り合い、やる気がある人の知り合いは増えて困ることないですしね!
 
 なお、こんなものがあるかどうかはわかりませんが……、もし……、もし……、対価が発生する対比構造分析の原稿依頼とかでしたら、いずみのさんの方にお願いします。
 わたしは、しっかりした文章を書く自身がありませんし、論理的に語る能力はいずみのさんの方が格段に上ですしね(笑)
 この件に関して話したことはないのですが、おそらくいずみのさんなら、対比構造分析解説の原稿依頼なら、よろこんで受けてくれるでしょう(笑)
 
 ……そうそう。
 基本的にゲームはしないんだけど、珍しくやったなかでは、ゴア・スクリーミング・ショウなんかも、対比を意識して作っているっぽいから、分析面白そうだった……。
 綺麗に対比されていたから、構造的にすごくわかりやすいし。
 
 ってか、ゴア・スクリーミング・ショウの対比構造分析なら、聞きたい人がいたら、私がやるぞ? フェイトやひぐらしに比べて、分量はそんなにないし。完結している作品なので、語りやすい。
 あと、ゴアのキャラはむちゃくちゃ好きだし。
 
 しかし、サウンドノベルを含めたマルチエンディングものって、対比構造が明確に使われているのがおおいねえ……。マルチエンディングって時点で、対比を意識するのが普通だから、当たり前かもしれないが(笑)
 
 

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 最後に。
 
 以下、参考まで。
 スクラン刑部絃子の台詞の抜き出し。
 
 本当に抜き出しただけだから、読まなくて良いよ……。
 誤字脱字どころか、抜け落ちも大量にあるだろうし。
 
 

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【特別長編】
「コラコラ 「さん」をつけろ「さん」を」
「なにィ? それじゃ こいつは渡さ…」
「よろしい」
「……ときに ケンジ君 少々キミに尋ねたいコトがあるんだが…」
「塚本さんとは一体どこまでススんでいるのかね?」
「隠すな 隠すな イヤ 保護者として知っとかねばならんと思ってな」
「同居人として キミを養っているんだ 住み心地の良いマンションで 従姉弟とはいえ 女の私と二人暮らしだぞ? 私には知る権利があると思うがね」
「十六そこそこの子供が独りで部屋を借りられるとでも?」
「……わかり易いうえに 義理堅いんだな 言ってるも同然だろ」
「なにかわいいコじゃないか 昔ながらの日本の女のコ 和風美人という外見だな」
「ズバリそこが 好きなんんだろう?」
「所持金2円のクセに写真だけはしっかりラミ加工とは… やれやれ」
「この後に及んで中学生かキミは」
「「男は黙って…」というワケか ま いいだろう」
「それはそれで イジメ甲斐があるそうだよな こういうフツーの女のコには フツーの男のコが合うもんだ グラサンにヒゲの典型的ダメ男じゃ 不釣り合い極まりない」
「キミ それさっき胡椒ビン ごといったチャーハンだよね」
「おお〜〜 平らげた……」
「教えろ」
「…………」
「……そうだな」
「この子のコトは正直に言えば 興味本位だ」
「だってそうだろ? 「俺は俺だけのモンだ」なんて独りでトガってたヤツがさ…
 なにせ 恋だ」
「少し… 心配にもなるさ」
「さあ ハリキっていってみようか!」
「ああ… とても心配だな」
「ワハフハホー?」
「いや 何言ってんのか サッパリなんだが」
「しまったなー ここまで酒に弱いとは…」
「しかしケンジ君 残念だったな 珍妙なる同席者の貴重なご意見を聞き損なうとは」
「ほ──」
「また来よう」
 
【書き下ろしオマケマンガ その一】
 台詞はなし。歩いている所を播磨がよける。
 
【#18】
「では少し難しいが 次の問いを…花井君」
「うん 実に的確な答えだ さすがだね」
「ちなみに ワザワザ起立せんでもよろしい」
「サングラスとりなよ」
「しかし君ほど運の悪い男も珍しいな…」
 
【#19】 播磨の入院話。
 
「…そろそろ 花瓶の水をかえた塚本君が帰ってくるな 邪魔者は消えるぞ 拳児君」
「えーい 女々しい あと「さん」をつけろ」
「自作の 通信機だ こいつをつけろ」
「私が会話の助言をしてあげるから それに続けばいい」
「携帯OKの病院でよかったな」
「ムリにとは言わん せーぜーボロを出して幻滅されんよーにな」
「刑事モノみたいでカッコいいだろ?」
「がんばんなよ じゃ」
「よーし 塚本君が来たぞ 準備はいいか?」
「「やあ」」
「「ありがとう」」
「「紅茶好きなんだよ」」
「「安産型だよね」」
「君みたいなな…… …と ホントは言ってみたいんだろ?」
「何を言う 折角来てくれたんだ 気の利いた言葉くらいなあ〜」
「気持ちは素直に伝える! 基本だ!」
「うーむ 「10秒以上あくと 前後の会話の関連づけができない」…と」
「…しかし ホントに言うとはなあ…」
「いやなんでも ケンジも同じ…と」
「じっくりいけ 予想以上に開いては多い」
「男性からの好意におそろしく鈍いんだ 或いは育った環境によるものかもな」
「実際クラスでも 塚本君にコナかけてる男子は多いハズだ」
「あせるなと言ったろう 大丈夫だ 今のトコ君が一歩リードしている」
「あんな恥ずかしいコトを素で言えるのは 君くらいのもんだ」
「………… ………… ふ」
「おっと突然 原因不明のECMを受けた! やむをえん 一時 通信を中断するぞ!」
「サラバだ 拳児君」
「…塚本君ならとっくに帰ったよ お前が悩んどる間にな お大事に…だそうだが……」
「ほ〜ら塚本君だよ〜 君のだーい好きな♪」
 
【#25】 
拳児君」
「学校へ行く時間だぞ」
「…ったく こんなこと言わせるな」
「………… また休むつもりか? まあ不良らしいと言えなくもないが」
「開けるよ…」
「…………」
「ケンカには滅法強い男が こうも脆いとはなぁ」
拳児君 君にお客さんだが… どうする?」
「……まあ 君もよく知ってる者だろうな」
「天……」
「………… …………」
 
【♭06】
 
「私はまったくかまわないよ まァ 元々 大した部活動をしているワケでもないし…
 しかし だ そこで土下座をしている男は一体 何だ?」
「しかし 君はたしか 合気道部のたった一人の部員ではなかったか? 同好会か?」 
「どうしようもない男だな あのバカに似てる」
「……ウチならそんな心配は無用だと思うけど ま ここは 生徒の自主性を尊重するということで 彼については部長の裁量に任せるとしよう」
 
【♭12】
 
「とりあえず矢神神社へ移す それで来てもらった」
「しかしそれも時間の問題だな スグにバレる」
「しかしそれはエゴだぞ 播磨君」
「…もう… いいだろ」
「動物園に話をつけておいた」
 
【絃子のデータ】
刑部絃子
対播磨:5
慈愛:1
知力:5
過去のヒミツ:6
教師:3
 
JOB:賢者
POWER(UNIT):お色気パワー(全校男子前屈み)
SKILL:暗算
FINISH BLOW:エアガン乱れ打ち
WEAK POINT:過去のこと
 
 
【♭14】
「おお ありがとう」
「それは忘れて…」
「そうそう! 今が良ければ良いのだよ!」
「うわぁ そう来たか… わかった やる! やるよ! 断ったら 何 言われるか…」
「大質量の直線上に並んだ天体Bの像がダブって見えた… 君たちはどう考える?」
「…今日はとみに集中してるな… 腹 壊すなよ…」
「…懐かしいな」
「あいつら見てると学生ん時思い出すよ 「ああ 今も昔も同じだな」ってサ!」
「いろいろあったなあ。」
「ん?」
 
 
【#73】
「ん── いや…ちょっと絵を ね」
「そ 緊急のね」
「だから 緊急避難してきた あ──っ 難しすぎる これ よく描けるな──」
「…イヤ なんかメンド臭そうなんでね」
 
【♭19】
 ──今日は友人の結婚式だった
 
「ま、一杯。」
「ちょっと 外すわ…」
「アラ 新郎がこんなとこで何してるの?」
「ま とにかくおめでとう川合君」
「新郎は大学の同級生 新婦は高校の後輩とは、ねえ…」
「もしかして 私はキューピッドだったのかな」
「いいけど……。会場は変なヤツらがたくさんいて居心地悪いしな おっと失礼」
「葉子がいるからね」
「憶えてる? 大学のサークルのイベントで「奥さんにしたい女選手権」とかゆーやつ 他校の笹倉が票を独り占めで一位!」
「ただの天然なだけなんだけどね アレは。」
「女の私まで嫉妬されるとはね 笹倉もやるなぁ」
「義理堅いというか… そんなにムリしなくてもいーのに… 私はどーでも…」
「川合君 背ェ伸びた?」
「ホ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 伸び盛りだねェ その年齢で。」
「……………………………… “S”が逆だぞ すでにハーレムを…」
「一皮むけば学生だよな〜〜」
「……マアマアだな」
「葉子まだ 飲むの?」
「アンタもそれくらいにしときなよ もう大学生じゃないんだから! そろそろ ね…」
「ん──な ヒトをガキみたいに」
「ムリムリ! 性に合やしないよ カタ苦しそう!」
「もう イイじゃん そんな昔の話はさ〜〜〜〜」
「………… 自由とは そーいうことだ」
「まー しかし アレだ 学校の生徒がこの場にいたら驚くだろうな 葉子を見て」
「あははは! 見たくないね──!」
「…川合君、魅力的な話だし……正直、力になりたいと思うよ」
「でも あなたの求める価値と 私のそれは なんていうか… 違いすぎるんだ……」
「いつか あなたにも知ってほしいな 私の見ているものが どんなに素晴らしいものかを」
「なに人の部屋でのたれ死んでんだよ こっちは死ぬほど疲れてんだよ ホレみやげ!」
 
【#92】
「オゥ 拳児君、早かったな……」
「……………………」
 
【#94】
「え〜から えっとさ… フロのカマが壊れて…」 
 
【8巻オマケマンガ】
「…葉子 そりゃ あれだよ」
「この間の あんたの大人げない勝負のせいだよ ホンキで悔しかったんだろーな」
 
【#103】
「ずいぶんと煽ったみたいね」
「記録映画を撮るというのは………………?」
「怖ろしいね…… 最初からソレが狙いだな……」
 
【#106】
(…………今のは…………)
(レベルが違いすぎるな……)
(これでは両軍のバランスがとれないじゃないか…)
(子供のケンカに首をつっこむのも気が引けるが…)
 
【#107】
「……ち」
「ナイトビジョンが完調ならば一撃だったものを… しょせんはオモチャか」
「しかし この変態 動きが……!」
 
 
【♭23】
「いや… ハリマの言うとおりかもしれんぞ!」
「その黒い石を使って武器を強化するのだ!」
 
 【#111】
「まぁまぁ ゴリ… 郡山先生 彼らは充分に反省しています ここは大目に…………」
 
「谷先生」
「いえいえ 何もなかったワケですし 私も参加していたし…」
「…でも……先生は生徒達を叱らないんですね……不干渉主義というか…」
 
【#118】
「お帰りなさいませ ご主人様 アメリカ出張はいかがでしたか?」
 
 
【#119】
「おい皿洗い」
「なんだ せっかく交代してやろうと思ったのに」
「奥の部屋でセンセイがお待ちだ」
 
【♭24】
「…………」
「帰るから ソコをどけ。」
 
 
【♭27】
「遊んだ分キッチリ働くんだよ!! お金持たずに店に来るなんて甘いんだよ」
 
【♭28】
「ああ」
 
【描きおろし“お風呂“マンガ八雲編!!】
「なぜか美術室に 君の しかも びしょぬれの制服が」
 
【#139】
「失礼な 誰が悪霊だ」
「いきなり何をするんだ? 大体学校では 絃子先生だろうが」
「──ふむ それはもう 勉強するしかないんじゃないか?」
「ふーむ じゃあ 一つ策を授けてやろう」
「いいか 拳児君 体中に英単語を書けば 件の老教師は 君に近づけないはずだ いいか 一文字一文字心を込めるんだぞ」
 
【#145】
 葉子としばらく スノボ旅行 帰りは一週間後 よろしく 小遣い→
 
【#159】
「…… あンのバカ 何やってんだ」
「乗りなよ 姉さん連れて 話は大体聞いたから ちょっと飛ばすけどねアレは」
 
【#160】
「うるさい」
 
【#161】
「オイ 拳児君」
「ホウ…… 今月の家賃もまだなのに ずい分な口の利き方だな」
 
 
【#170】
「ったく騒々しい」
「…… 分かってるよ 社会人にはウザいだけだが…」
「…なってない」
「…なってねっつてんだろうがぁ!!」
「学校の皆には 面倒なんで 言ってないんだよ」
「勉強ばっかじゃダメだぞ〜〜〜!!」
「だからどーした もう時効だろうが」
「お! ちょうど甘いモンが 食いたかったんだよ ありがたくいただこう」
 
【#193】
「先生 これはどうです?」
 
 

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